Local Three Recipes Radio|VOL.2

 錬金術と宇宙から落ちてきた石🪨

錬金術師、中川美奈子さんに仕立ててもらった、私のスプレー。

レシピのハイライトは、

モルダバイトと、ヒカゲノカズラ。

——と聞いた瞬間、

あ、これは「香水」ではないな、と思った。

ホメオパシーという言葉自体、

聴いたことがあるような?、、ないような。。。

西洋の自然派医療……?

そんな、少し輪郭のぼやけた理解のまま、ここまで来ている。

でも、隕石や、神話の中に出てくるような植物を

ホメオパシーの文脈で扱うという発想は、

私の知る限りでは、

もしかしたら美奈子さんしか、いなのかもしれない?と思った。

宇宙から落ちてきた石と、

地上で静かに生き続けてきた植物。

どちらも「効能」を語る前に、

時間のスケールがまったく違っていて、

不通の理解を、軽々と追い越していく存在だ。

収録が終わって、もう一週間以上が経っている。

そして実は、この錬金術のスプレーが

私の手元に届いてからは、

それ以上の時間が、すでに流れている。

私はこのスプレーを、

フレグランスとしてではなく、

ときにはルームスプレーのように、

ときには自分の身体に直接吹きかけて、

いろいろな距離感で使ってみてみている。

率直に言って、香りはとても柔らかい。

好きなタイプの香りだと思う。

でも、

これは「香り」ではない。

スプレーのボトルを手に取ったとき、

「ああ、すごい人が、うちにやってきた」

そんな感覚があっただけで、

そのときは、まだ何も起きていなかった。

けれど、使い始めて、

たしか翌日だったと思う。

私は、骨折をした。

この骨折は、

私にとって、ものすごく大きな変化を生んだ。

誤解をしてほしくないのだけれど、

「この錬金術スプレーのせいで骨折をした」

という話では、まったくない。

危険なものだと言っているわけでもない。

ただ、

それくらいの勢いで、

今の私に必要なことが、

一気にやってきた、という感覚があった。

それは、出来事というよりも、

「変化」だった。

骨折をして、二日目。

その日は、SUQだった。

待ちに待った、第一回目のスーク。

予定していた準備のために出かけていた、

その途中で、私は骨折をした。

身体が止まったことで、

否応なく、時間が生まれた。

私は、何をやめたのだろう。

どんな動きを、

どんな癖を、

どんな「当たり前」を、

手放すことになったのだろう。

簡単に言うと、

私は、スークの準備をやめた。

これまでの仕事と同じように、

綿密に準備をして、

皆さんを迎え、

自分の中で「完璧だ」と思える空間をつくる。

それは、私にとって

慣れたやり方であり、

得意としてきた仕事でもあった。

けれど、骨折をしたことで、

それが一切、できなくなった。

一番楽しみにしていた理由でもある、

今回の会場でのお泊まりも、

叶わなくなってしまった。

「いつも通りにやる」という選択肢が、

丸ごと、消えてしまった感覚だった。

私が、唯一やめなかったこと。

そして、変えなかったこと。

それは、

予定通りに実施する

という判断だけだった。

そこからの一日半、

約三十六時間のあいだに、

私は、それまで

「すべて自分でやろう」と思っていた準備について、

人を探す、という選択をすることになった。

私が思い描いていたものと、

その人が「できること」。

その二つを、

擦り合わせるのではなく、

融合させるしか、選択肢はなかった。

結果として、

新しい仕事のやり方が、

たった一日のうちに生まれた。

そしてスークは、

結果的に——

完璧な形で、実現することができた。

現実に、何が変わったのか。

それを説明する言葉を選ぶのは、

正直、簡単ではない。

けれど、あえて具体的に言うなら、

こういうことだと思う。

私はスークを、

新しい、どこにもない文化的市場として立ち上げ、

特別な誰かのものではなく、

誰にでもひらかれ、循環していく文化として

成立させたいと考えていた。

それにもかかわらず、

実際には、

「私にしかできない場」を、

一生懸命つくろうとしていた。

このアクシデントによって、

私はそれを、強制的に手放すことになった。

結果として私は、

第一回目にして、

~誰にでも実現できるスークの形~を

つくり上げてしまったのだと思う。

準備を重ねたからでもなく、

計画が完璧だったからでもない。

やめたことによって、

起きた変化だった。

錬金術とは、

世界と人間が、

どう「調和しながら変わっていくのか」を探る学問。

ホメオパシーとは、

身体そのものが、

バランスを取り戻そうとするプロセスの表れ。

そう捉えるなら、

「中川美奈子」の錬金術セッションは、

これからの世の中にとって、

ひとつの「光の柱」なのかもしれない。

——私は、そんなふうにふと思った。

このお話の続きは、

Podcast「Vol.2|錬金術と宇宙から落ちてきた石🪨」の中で、

対話として、もう少し違う角度から触れています。

言葉になる前の違和感や、

身体を通して起きた変化については、

声のほうが、近いかもしれません。

錬金術は、

何かを加えることではなく、

やめることで、

自然に起きるのかもしれない。